メニュー

NEWS・お知らせ

協会コラムVol.40 お肌の健康は、毛細血管とターンオーバーから。

協会コラム ~だから、Medicell~
Vol.40 お肌の健康は、毛細血管とターンオーバーから。

皮膚は表皮・真皮・皮下組織の3層構造からなり立っていますね。

皮膚の毛細血管網は主に真皮層に分布していて、表皮には血管は存在しません。なので、表皮細胞への栄養や酸素供給、老廃物の回収は、真皮の毛細血管からの拡散によっておこなわれます。皮膚表面の状態は、真皮の毛細血管の健康状態に依存しています。したがって、血行不良や毛細血管の虚血は、表皮のターンオーバーの遅延や乾燥、くすみ、角質肥厚につながる要因となります。

ターンオーバー(角化サイクル)とは、表皮の基底層で生まれたケラチノサイト(角化細胞)が、分裂・分化しながら角質層まで押し上げられ、最終的に垢として自然に剥がれ落ちる一連のサイクルです。

サイクル段階特徴
基底層幹細胞が分裂し新しい細胞を生み出す。毛細血管からの栄養が重要。
有棘層細胞同士がデスモソームで結合し、形態変化開始。
顆粒層ケラトヒアリン顆粒の産生、角化の準備が進む。
角質層核を失った角化細胞がバリア機能を担う。最終的に剥離する。

通常、約28日間(個人差あり)で一巡しますが、年齢・ストレス・栄養不良・血行不良・紫外線ダメージなどによって遅延・短縮が起こります。

ターンオーバーを健全に維持するためには、基底層の細胞に対して適切な酸素と栄養の供給が必須です。そのために、真皮の毛細血管網の機能が極めて重要となります。
毛細血管が収縮して機能低下すると表皮への栄養供給が滞り、角化異常が発生します。
血流が促進されるとターンオーバーが整い、肌の再生・代謝が活発化します。
肌トラブル(乾燥・くすみ・吹き出物)があるクライアントに対して、血流・生活習慣・自律神経バランスの観点からもアプローチできるとよいですね。

高齢者や虚弱者では毛細血管の再生能力も低下するため、優しい皮膚吸引でのアプローチは良いですね。
皮膚の健康は、真皮の毛細血管機能と表皮のターンオーバーの連動性によって支えられています
セラピストは、「表面だけを見る」のではなく、毛細血管レベルの循環や代謝に意識を向けたいですね。
皮膚は“内面の鏡”とも言われるように、全身状態のバロメーターといわれます。
皮膚の毛細血管は、自律神経系や化学伝達物質の働きによって収縮・拡張を繰り返しながら、皮膚表面の血流量を調整しています。とくに拡張には、以下のようなメカニズムが関与しています。
皮膚の血管は主に交感神経によって調節されていますが、交感神経は状況に応じて、血管収縮(ノルアドレナリン放出)または血管拡張(交感性血管拡張線維)を引き起こします。毛細血管の拡張は、温熱刺激や情動反応によって交感性血管拡張線維が活性化。その結果、血管平滑筋が弛緩して毛細血管が拡張。さらに、副交感神経が優位になって(リラックス時)、末梢血流が増加し、毛細血管が拡張します。
マッサージなどの皮膚への刺激によって、局所の温度が上昇して、血管内皮細胞から一酸化窒素(NO)の分泌が促進。その結果、血管平滑筋が弛緩し、毛細血管が拡張します。

筆者:竹内 研(一般社団法人日本メディセル療法協会理事・学術委員長)

一覧へ戻る