協会コラム ~だから、Medicell~
Vol.46 刺激と反応
私たちの、そして動物たちも、生きている間中、刺激を受け取って、それに対して身体と精神の反応が起きている。
このことは、ほとんど自覚されないで、生活をしています。
本当に私たちが自覚できていることって、少ないのですね。
どんな刺激を受けて、どのように身体と精神が反応しているか。私たちが自覚できる以前に、様々な反応が起きているということ。

例えば運動をして、体力をつけようとか、健康増進しようとかという場合でも、心身に刺激を与えて、それに対する反応を起こすことによって。そしてそれを継続して繰り返すことによって、適応が起きて、心身の変化が起きるのです。

このことは施術においても同じです。
硬縮している箇所に何らかの施術を行うと、感覚的な反応が起きたり、そこが軟らかくなっていくといった反応が起きますね。しかし、そうした反応ばかりではなくて、その刺激によってもっといろいろな心身の反応が起きています。
ですから、施術して、想定外の反応や変化が出ることがありますね。
その反応や変化が望ましいものであるかどうかは、施術の方法にかかっています。
昨今、局所的な状態(コリや痛みなど)に対処するのはもちろんのこと、もっと幅広い多岐にわたる心身の状態への対応も視野に入ってきています。

現代人の健康などに関するお悩みや、その他のニーズがどんどん広がってきました。
その分、施術が持っているであろう可能性においても、期待されることが増えてきているのではないでしょうか。
多種多様な施術のメカニズムも、かつては筋骨格系がその主流でした。近頃は、もっと様々な身体のメカニズムが、取り上げられるようになってきました。
正確にいうと、どのような施術法であれ、多様なメカニズムが働いていたということでしょうね。

生理学的には、刺激-反応系といいますが、刺激がセンサーによって受容されて、続いて中枢である脳と脊髄に送られて、処理され判断された結果、命令として送られて、反応が現れる。
この生理学的な基本のメカニズムを常に念頭に置いて、施術を考えて、施術の現場に臨む姿勢こそが、大切なのではないでしょうか。
そうすることで、施術の持つ可能性を、どんどん広げていくことができるのではないでしょうか。
筆者:竹内 研(一般社団法人日本メディセル療法協会理事・学術委員長)