協会コラム ~だから、Medicell~
Vol.52 腸の動き
腸の蠕動運動とは、腸の筋肉が波のように収縮と弛緩を繰り返し、食べ物や消化物を胃から肛門まで運ぶ運動のことです。消化・吸収・排便に不可欠な働きを担っています。
腸の蠕動運動の仕組みは、平滑筋の収縮と弛緩です。腸壁の輪状筋と縦走筋が交互に縮んだり緩んだりすることで、内容物を前方へ押し進めます。

神経による制御は、腸の動きは「腸管神経叢」と呼ばれる独自の神経ネットワークによって調整され、自律神経(副交感神経、正確には迷走神経)が大きく関与します。
反射作用として、食べ物が胃に入ると「胃・結腸反射」が起こり、腸の蠕動が活発になります。腸の蠕動運動によって、胃で消化された食物を十二指腸 → 小腸 → 大腸 → 肛門へと運びます。
蠕動運動によって、摂取された食物を腸壁に接触させ、ブドウ糖やアミノ酸などの栄養素を効率的に吸収します。
さらに老廃物を排出して、不要な残留物やガスを体外へ排出します。

腸内環境の維持においては、腸内細菌叢を刺激して、健康な腸内環境を保ちます。蠕動運動が弱まると便秘やガス貯留し、食べ物が腸内で停滞し、腹部膨満感や不快感を引き起こし、消化不良などが起きる可能性が。
もしこのように栄養吸収がうまくいかず、腸内環境が乱れ、腸内細菌のバランスが崩れたり、免疫機能低下や肌トラブルの原因にもなるといわれますね。 健康な腸の蠕動運動を保つためには、水分を充分摂取することで、便を柔らかくし、腸の動きを助けることは有効です。加えて、朝食をとる摂ることで、胃・結腸反射を活発化させ、腸の動きを促進。
適度な運動例えばウォーキングやストレッチは身体の動きと共に腸の動きを刺激します。

そして、今や特に重要なのが、自律神経系の働き。副交感神経系特に迷走神経が活発に機能することで、腸の蠕動運動は促進されます。
残念ながら、昨今自律神経の働きに乱れが起きる人が大変多い。
こうした状況下では、必然的に、消化器官の働きに影響が起きがち。
なので、自律神経系に刺激を与える方法として、皮膚に刺激を発生させる療法は、実に有効です。
人体は神経系によって制御されています。その神経系に焦点を当ててアプローチするのは、多くのケースで有効な場合は少なくありません。
筆者:竹内 研(一般社団法人日本メディセル療法協会理事・学術委員長)