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協会コラムVol.53 転ばぬ先の杖

協会コラム ~だから、Medicell~
Vol.53 転ばぬ先の杖

 転倒予防はとても重要なテーマだということは、みなさんよくご存知ですね。
本当に介護予防という課題は、今そしてこれからもますます重要性が高くなるのは間違いない。高齢者に対して、医療関係の方々も、介護関係の方々も、転倒を防ぐために細心の注意を払われます。バリアフリーの環境であっても、身体の状態如何で、転倒は起きてしまいます。

体力測定でも、バランス能力を測る閉眼(開眼)片足立ちの記録は、ある年代を過ぎると、歳と共に低下していきます。神経系に関する測定項目では、ほぼ同じような変化をたどります。
転倒しないためには、歩く時に持ち上げる方の足先の高さが大切です。この高さが低いと、床や路面にある何かに引っかかって転倒するリスクが大きくなります。
持ち上げる脚遊離脚といいますが、この脚・足を持ち上げる筋肉は、大腿四頭筋というよりもむしろ大腰筋です。大腰筋の働きが衰えると、遊離脚がしっかりと持ち上がらなくなると共に、歩幅が小さくなってしまいます。つまり、脚を前に出しづらくなります。エクササイズなどでこの筋肉の働きを高めるのには、工夫が必要ですね。

普通に直立した時には重心(体重心)は、だいたいお臍の下あたりにあります。立っている場合、この重心が足の裏が接地している範囲(接地面)から外に出てしまうと、転倒が起きてしまいます
ですから、重心が接地面から外れそうになると、これを感知することが必要なのです。つまり重心感知。身体には重心の状況をキャッチする仕組みが、常に働いています。キャッチされた情報は脳に送られて、この重心の位置を修正するための命令が、脳から筋肉に出されます

しかし、筋肉や靭帯などが硬くなっていると、この仕組みも働きにくくなってしまうのです。例えば、緊張して歩いている時、ついつまずいてしまうという経験は、多くに人がお持ちではないでしょうか。緊張すると、筋肉が硬くなります。するとこの重心をコントロールする働きが鈍ってしまうのです。
加齢に伴って、筋肉が硬くなるのは言うまでもない事です。筋肉が硬くなることで、脚を前に振り出しにくくなると同時に、重心の調節能力も衰えていくと言えるのです。
転倒するのは歩いている時が多いので、転倒予防と歩行は、併せて考える必要があります。

そのためには、筋膜をリリースすることによって、筋肉の圧迫を解いて、筋肉が収縮しやすい状態にすることが欠かせないのではないでしょうか。

筆者:竹内 研(一般社団法人日本メディセル療法協会理事・学術委員長)

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