協会コラム ~だから、Medicell~
Vol.54 ストレングストレーニングだけではなくて。
先日、プロ野球のトレーナーの方々の研修会の場に行く機会がありました。日本のプロ野球全球団プラス、独立リーグのチームや大学野球部のトレーナーの方々も参加しておられました。アメリカのメジャーリーグのトレーナーも。
野球のトップレベルがどの様にトレーニング&コンディショニングを行っているかを知る良い機会になりました。

私は元々、ストレングストレーニングつまり筋トレの専門家として、アスリートの指導や全国各地でセミナーを行なったり、トレーニング専門雑誌に連載記事を書いたりしていました。
当時は野球を含めてスポーツ全般に対して、筋トレの必要性を伝えるところからでした。今では、野球の分野にも筋トレがしっかりと導入され実施されています。
しかし・・・・・・・、なのです。
まだ足りないピースがいくつかあると言わざるを得ないのです。
例えば、筋肉に関して考えると。筋肉は伸び縮みつまり収縮して力、つまり筋力を出します(もちろんアイソメトリックコントラクション~等尺性収縮といって静止した状態でも筋力を出す場合もあります)。なので、筋肉はいかに縮むかと、いかに伸びるというよりも弛緩つまり軟らかくなるか、ということが重要なのです。
筋トレを行うと、必然的に筋肉は一時的にせよ硬くなります。
高性能な筋肉というのは、縮むのと弛緩するのとの差が大きいのです。つまり、力を入れていない時には、文字通りフワフワで軟らかいのです。
ハイレベルのトップアスリートの筋肉は、正にこれ!常時、マシュマロの様に、軟らかい。

つまりこういうことですね。筋トレで強い筋力を養いながら、片や筋肉の軟らかさを養うことを行うのが不可欠ということ。それは、疲労回復とか障害予防のためもそうですが、パフォーマンスを上げるためでもあります。
残念ながら、多くの選手の筋肉が常に軟らかい状態にあるとは言えません。
アスリートは毎日の様に、練習やトレーニングを行います。それに対して、筋肉を充分に解す方法を、充分に行っている選手は、かなり少ないでしょう。

通常のスポーツマッサージだけでは、足りないと言わざるを得ないですね。しかも、ほぼ毎日行うことが必要です。何故なら、筋肉は練習やトレーニングだけではなく、日常生活の中でも硬くなりますから。
アスリートのトレーニング&コンディショニングの内容の中に、もっともっと筋肉を軟らかくするという方法が位置づけられるべきだと思いますね。
筆者:竹内 研(一般社団法人日本メディセル療法協会理事・学術委員長)