協会コラム ~だから、Medicell~
Vol.15 この暑さで疲れるのは・・・・・・・
猛暑続きの今年、熱中症はもとより、色々な体調不良になる人続出。
そりゃそうだ、人間は36.5度前後の体温が保たれていないと、酵素の働きをはじめとして、体の多くの機能が不全に陥るのですから。
だから体温調節機能は、健康の鍵。
近年、熱中症が増加傾向。
その原因として、温暖化による気温の上昇がいわれます。
しかし、人間の側にも原因となる要因があります。
水分摂取に気をつけることは必要だとしても、私たちの体の働き自体に、熱中症増加に繋がる要因があります。
私たちの体には、体温調節機能が備わっています。
常時、体温を適正な範囲に保つように、自動的に働いています。
何かの理由や必要性のために、体温が適正範囲外になることがあります。体にウィルスや細菌が侵入したとき、その活性を下げるために、体温を上げるとか。
ともかく、体温は片時も休むことなく、自動調節されていなくてはいけません。
発汗は体温調節のための手段として起きます。
では、発汗を含めて、その自動調節は体の組織のどこが行っているかというと。
それは視床下部。
視床下部が体温調節の中枢。視床下部を流れる血液の温度変化に反応して、低ければ筋肉を震わせたり、高ければ発汗を促したりして、体温を調節します。皮膚などにある温度センサーからの情報も、視床下部に入力されています。
この視床下部の体温調節機能が正常に機能していないと、熱中症のリスクも当然高くなります。
近年、自律神経失調傾向の人が増えているのも事実でしょう。自律神経失調症という診断名は無いのですが、自律神経機能の不調が関わる体調不良が実に多いと考えられているわけです。
自律神経の中枢は、言わずとしれた視床下部。
だとしたら、視床下部が本来の働きをしていないケースが増加しているのでは。
視床下部の働きが不十分な状態であるとしたら、当然、体温調節機能にも影響が出ても不思議ではないでしょう。
そして、猛暑続きの日々、視床下部は体温調節のために、これまで以上にハードワークを強いられています。そのため、疲労した状態にあると考えることができるでしょう。
視床下部が疲労していると、これまた必然的に、自律神経の働きが不調に陥る。
すると、色々な体の、そして心の不調が出ることになります。
暑さ続きの日々に、様々な体調不良を起こす人たちが増えるのは、こうしたメカニズムだったのです。
「暑さは視床下部を疲れさせる。」と心得て、その疲れを取る工夫が大切ですね。
筆者:竹内 研(一般社団法人日本メディセル療法協会理事・学術委員長)