協会コラム ~だから、Medicell~
Vol.31 心身一如
体は体、心は心。私たちは分けて考えることに慣れています。ストレス性疾患といって、精神的な要因によって、体の不調が表れるということも、よく理解しているつもりですが、やはり別々に考えることの方が多いと思います。

特に、心の状態について考える場合に、体の状態などを関連づけるということは、どちらかと言えば少ないかと。
この由来は、哲学者のデカルトにあるとしばしばいわれます。いわゆる心身二元論。
カウンセリングやメンタルトレーニングを行う場合でも、言葉や思考やイメージなどを使うのが中心です。つまり、脳の前頭前野の働きによって行う方法です。

一方、アジア圏では、宗教的な分野で、精神性を追求するために、肉体的な苦痛や刺激を使う、いわゆる修行が何千年にもわたって、行われてきました。ヨガも本来はその一環です。
誰でも、体調が悪いと、体のどこかに不調や不快を感じる場合には、メンタル的にネガティブになったりします。逆に、体調が良いと、また心地よいと、文字通り気分が良くなったり、ポジティブになりやすいですね。
体の状態は心の状態に影響を与えているのは、間違いないですね。脳の研究が進んできて、体からの情報は、脳の状態に想像する以上に大きな影響を与えているのだと解ってきました。

中でも、体の色々な組織の緊張と硬縮は、不快をもたらすと共に、心の状態がネガティブになる大きな要因です。
心の状態は常に、体の状態の影響下でつくられている。心の状態を理性だけでコントロールしようとしても、かなり難しい。

身体心理学という学問が、心は体の動きでつくられると教えてくれています。
筆者:竹内 研(一般社団法人日本メディセル療法協会理事・学術委員長)